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象牙とその歴史について
象牙とは、書いて字の如く「象の牙」で、正確には巨大に発達した門歯です。
象牙は独特の乳白色(英:アイヴォリー)で、程よい吸湿性があり加工がしやすい優れた素材として、世界中で様々に活用されていました。
日本での歴史は6世紀に中国から渡来した加工製品が始まりですが、その後象牙を材料として輸入し、加工して日本独自の製品も数多く作られるようになり、加工技術とともに広く発展するようになったのです。
一番古い象牙の工芸品として残っているのは、正倉院に残る奈良時代の装飾品です。
その後、安土桃山時代には、茶道具や楽器の一部などにも使用されるようになりました。
千利体や豊臣秀吉もまた、茶入れ・茶さじ・なつめ・楊枝・茶杓・楊枝・花生・香合香炉・水指など、象牙の茶道具をいくつも所蔵していたことが分かっています。
江戸時代初期には、男性は根付や印寵、女性はくしや簪(かんざし)などの日常の生活用品や装飾品に象牙素材が使われるようになりました。
象牙の置物や一本牙に彫刻を施した工芸品の技術は、明治から大正時代に全盛期を迎え、数多くの作品が現存しています。
その後1990年、象は国際取引によって絶滅のおそれが生じている種に指定され、ワシントン条約によって象牙・象牙製品は輸入禁止となりました。
ワシントン条約の締結により、もともと人気のあった象牙製品の価値は、さらに上がるばかりです。
象牙製品の種類について
象牙製品は大きく彫刻品、アクセサリー、実用品に分けられます。
彫刻品は象牙そのものを磨き、一本牙の形を残したまま表面に彫刻を施し置物とするタイプや、牙の形は残さず、七福神や馬、船などをモチーフとして彫った置物があります。
アクセサリーは、ネックレスやペンダント、ブローチ、イヤリングといった洋風のものから、帯留め、かんざし、根付けなど和小物や装身具にも使われていました。
実用品に加工された象牙は、茶道具、麻雀牌、三味線の撥、琴の爪や柱、箸、ピアノの鍵盤、ビリヤードの玉、耳かき、印鑑、杖の柄、糸巻き、和裁のヘラなどです。
象牙製品は、肌なじみや感触が良く、高級感があることなどで、どの製品も満足度が高いため人気でした。
現在でも印材や三味線の撥、弦楽器のピックの材料には象牙が最高と言われています。
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