骨董品の買取に行った筈だが、『秘境探検』する羽目になった
2022/6/7 10:15
当店は、高価買取専門店アワードにて、3年連続グランプリ受賞の東京日本橋1丁目に店舗を構えます、古美術天宝堂です。
骨董品の買取において、印象に残っているお宅のお話です。
長野県の旧家からの骨董品買い取りのご依頼でした。
「蔵がもう老朽化してしまって、いつ崩れるか怖いので、取り壊すので、中の値段が付く品物を買取して欲しい」との事でした。
蔵出しは、買取業務を行っている者ならば、憧れる仕事です。
気合を入れてお伺いしました。
「確かに崩れてますね」
伺ってみると、蔵が歪んでいます。
「何か異音がしたら、直ぐに飛び出して下さいね」と強迫観念を植え付けられる言葉を背に、建物に入りました。
(ゴチャゴチャだぁ)
昔の生活用品から、訳のわからない農具やらが立ち塞がり、奥に進めません。
額に懐中電灯を装着し、気分は秘境探検家です。
骨董品らしき物を見付けても、そこにたどり着くまでには、他の建具やら生活用品が詰まった段ボールやらをどかして行かなければならない始末。
しかも退かす場所も限られている。
漸くたどり着き中を見るとガラクタが詰まっていたり・・・。
見捨てておくには勿体無いが、そこまで値段は付けられないような品物ばかりあり、取り敢えず外に運び出すも、蔵の前は木々が生い茂るジャングル状態。まさに秘境です。
そこを抜けて、母屋に荷物を運び出す作業だけでも一苦労。
そんな作業を繰り返すも、頭の片隅にはいつ蔵が倒壊するかもしれない恐怖に怯え、夏場で汗も滝のように流れ、蚊にも悩まされ、そんな中、雨が降ってきたので、より倒壊の恐れありという事で2時間程で作業を断念する事となりました。
蔵出しはまたリベンジしたいと思っております。