骨董品の買取で伺った先のお宅で『 デジャブ』を繰り返す
2022/6/15 07:53
当店は、高価買取専門店アワードにて、3年連続グランプリ受賞の東京日本橋1丁目に店舗を構えます、古美術天宝堂です。
骨董品の買取において、印象に残っているお宅のお話です。
静岡県の富士山のお膝元で、骨董品の買取をお願いしたいという息子さんからご連絡頂きました。
「引っ越しをするので、母が住んでいる家の荷物を買取して頂きたい」というご連絡でした。
伺ってみると、ご年配の品の良い奥様が出迎えてくれました。
ご主人が遺した書籍が大量にあり、困っているのだとおっしゃいましたが、専門的な書物ばかりで、当方にはどうする事も出来ません。
お茶をされていたという奥様が、もうお茶はしないから、買っていってもよいというので、荷物を玄関先に運びます。
「この鉄瓶は買っても良いですか?」
「二つあるから、そっちはいいよ」
と、了解が得られたので、玄関先に運びます。
そうこうしていると、
「なんでここに鉄瓶があるんだっ?」と憤られています。
「売っても良いというので、そこに置いたのですが、邪魔でしたか?」
「売るなんて言ってないよ!」
(えっ!?どういう事…?)
「そっちの鉄瓶は置いておくではなかったですか?」と、もう一つの鉄瓶を指さします。
「鉄瓶はどちらも売るなんて言ってないよ!」
どうにも話が噛み合いません。
「こっちの花生けは買っても良いですか?」
「二つあるから、そっちはいいよ」
デジャブです。
そして暫くすると、
「なんで花生けがここにあるんだい!」
「二つあるので、一つは売っても良いとの事だったので、置いたのですが…」
「売るなんて一言も言ってないよ!」
あぁ、この方は痴呆が入ってしまっているんだなと感じ、このままだと泥棒と言われてしまうかもと身の危険を感じ、許可の出た品物、みかん箱3箱だけ買わせてもらい、そそくさと退散致しました。
直ぐに息子さんと連絡を取り、一連の流れを申し上げると、
「あぁ、呆けちゃっているから」と平然と仰るのです。
いやいや、対応に困るので、その様な場合はご同席をお願いしたかったです。