化け物の咆哮が響き渡る中、骨董品の買取をする現場とは
2022/6/23 16:24
骨董品の買取において、印象に残っているお宅のお話です。
山口県の方から、骨董品の買取ご依頼がありました。
以前にもご連絡を頂いていたようで、
「その時は増田さんが「行きますよ!」とお返事頂いたのだけれども、遠くて悪いから、他の近場の業者に頼んだけれども、誰も来てくれないのよ!」
「遠いって、どちらでしたっけ?」
「山口県!」
「・・・遠いですね」
「遠いわねぇ〜」
「僕、行くって言っちゃったんですよね?」
「言っちゃったよ!」
「・・・じゃぁ、行くしかないですよ、ね?」
「来るしかないわ、ね?」
そんなコントの様なやり取りをして、山口県まで行く事になりました。
着いてみると既に一室にお茶道具の数々が並んでおります。
見るからに練習用で、このままでは、10万円の値段を付けられるかどうか。
頭に赤字の文字がチラ付きます。
「他に押入れとか見せて貰っていいですか?」
「バンバン見ちゃって!」
ガラガラ・・・
「おおっ!押し入れの中にまだまだ一杯、ありますよぉ〜♪」
「そうなの?義母の家だから、何があるか知らないの」
押し入れ、天袋、出てくる出てくるお茶道具の数々。
しかも練習用と違って、雰囲気の良い古い箱に納まっています。
「これは期待出来ますよぉ〜!」
「期待してまぁ〜す」
なんやかんやで、結構な総額に。
段ボールに梱包し始めると、近所から今まで聞いた事のない、地獄の底から響き渡るような唸声。
「怖っ!!」
あたりはもう既に真っ暗。
それでも「ぐぉぉるぉぉぅぅぅ〜」と、とてもこの世の生物が出す唸声には聞こえないのが、響き渡ります。
「なんか凄い唸声がするんですけど?」
「えっ?そう?」
(えっ!?この唸声って僕にしか聞こえないの!?)
ますます焦りはじめます。
(ヤバい、本当にこの世のものではないのかも・・・)
梱包を終え、車を取りに出掛ける時になって、
「ちょっと車取りに行ってきます」
「はい、いってらっしゃい、ってなんで木刀なんか持っていくの?」
「・・・護身用です」
丁度、買取作業をしていた時に発見した木刀があったので、それを装着。
警察官に見つかり、職質をかけられる事もなく、無事に車に到着。
そして、家の前に車を停めると、20メートル位先の暗闇から、大型犬三匹が物凄い勢いで走っていく姿を目撃しました!
「野犬!?」
「あのぉ〜、今、野犬ぽいのが走って行ったんですけど?」
「あぁっ、この辺結構多いわよ」
「えぇっ!」
気分は、バイオハザー○のプレイヤーです。
(でもまぁ、この世ならざる物でなければ、対処しようがあるか・・・)と変な安堵感を抱きつつ搬出作業へ。
木刀を腰に差して作業する姿はきっと不審者そのものだったと思います。
当店は、高価買取専門店アワードにて、3年連続グランプリ受賞の東京日本橋1丁目に店舗を構えます、古美術天宝堂です。
古美術天宝堂は、野犬とも闘う気概で、骨董品の買取に挑んでおります。