重要文化財級の骨董品の査定で、宮崎県にお邪魔した話
2022/6/24 11:27
当店は、高価買取専門店アワードにて、3年連続グランプリ受賞の東京日本橋1丁目に店舗を構えます、古美術天宝堂です。
骨董品の査定において、印象に残っているお宅のお話です。
宮崎県の方から、知り合いがとんでもない品物を持っているので、査定をお願いしたい、と言う旨のご連絡を頂戴致しました。
なんでも豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に、寺院から持ってこさせた物で、1億5千万円の価値はあると言われた品物だ、と仰るのです。
最初は眉唾でお話をお伺いしていましたし、本当だとしてもそこまでの価値を見出だせるか自信がなかったもので、お断りさせて頂きました。
しかしその後も中国の品物もあるので来て欲しいと連絡を受け、重い腰を上げ、お伺いさせて頂く事にしました。
行くと言ってもとても遠く、福岡までは車でよく行っていましたが、宮崎県は高速道路もなく、さてどうやって行こうかと思案していましたが、飛行機で行っても、新幹線と特急に乗って行っても時間的に大差なかったので、新幹線を使って行く事にしました。
到着し、早速拝見させて頂きました。
確かに立派なお品物です。
来歴が確証されれば、歴史的価値として重要文化財の指定もありうるかとは思いましたが、状態が悪く、美術品商ですので、美しくない物にはお金は出せません。
1億5千万円ものお品物を持っておられる方だから、副産物的に他にも良い物があるかなと期待しておりましたが、
「これが中国の名品でして!」
(・・・日本の物ですが)
「これが大変に珍しい物と聞いております!」
(・・・よくある物ですが)
お客様との温度差が激しく、品物もコメントしようがなく、早々に退散させて頂く事になりました。
紹介者の方が恐縮してしまい、他にもご紹介します!と言ってコレクターさんの所にお邪魔させて頂いたのですが、30畳はありそうな大広間一杯にお品物が並び、足のふみ場を考えなければならない程のお宅だったのですが、値段が付けられる物が殆どなく、3点だけ買わせて頂き、そそくさと退散致しました。
帰りには宮崎名物、本場チキン南蛮を食し、帰路につきました。
そんな時もあります。